昨日遅い時間に散歩に出た。
雨模様の空だけど、傘も持たずにぶらりと歩く。
途中落葉した欅がグレイの空にそのシルエットを美しく見せていた。
墨絵のようで実に美しい。
落葉した欅の何カ所かに丸いボールのような塊が見える。
これが寄生木(ヤドリギ)である。
小さい頃、田舎で兄と姉に連れられてちょっと遠いところまで山遊びに行ったことがある。峠付近で、あれが寄生木で今実が成っているからと、するすると木に登り寄生木の枝を折って降りてきた。
その実だったか中の種だったかを噛むと、ガムみたいになるとか言って口に掘り込んでいたので私もやってみた。
ガムになったかどうかの記憶はないのだけど、その事だけは今もはっきり覚えている。甘くなかったことはもちろんちゃんと覚えている。
それから時は経ち・・・
次に寄生木を見たのは、フランス新幹線こと超高速列車TGVが走ると話題になって数年後そのTGVの車窓からだ。
ツアーパックの旅行でリヨンからパリに向かうTGVの車窓の景色は、季節が冬であったこともあり落葉樹がところどころかたまって生えていて、後は農作地のような田園風景が長く続いていた。
その落葉樹の中に丸い褐色緑のボールが見えて、ああ、あれは昔見たヤドリギだと感慨深いものがあった。
それも今は昔・・・
峠までハイキングに行ったときの兄も姉も今ではこの世にはおらず、とても寂しい思いをしています。
ヤドリギが 寂しい思い 揺り起こし