それは一通のIDコールから始まった。
おっ、 Hatena Blog で手のきれいな愛しの君からのIDコールを受けて、お調子者のもへじはいそいそとほおずきれいこのブログへ飛んだ。もへじは奄美大島刃傷殺人事件簿にほおずきれいこの出演をお願いもしてあった。
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「えっ、なんだい。どこにもおいらのIDなんか書いてないじゃないか?」
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鬼灯を持って遊ぶ、化け狐風なものに騙された感を持ったもへじであった。
「おや、下の方に何か書いてあるぞ、なになに…」
テスト送信
今日は午後から仕事でした。
今日午後1時八王子ドン・キホーテの前で待つ。
テスト送信です。
「えっ、『テスト送信』?」
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マウスで何やら操作していてもへじは独り言ちた。
「そうか、分かったぞ。へへ、これはおいらに向けたデートの待ち合わせ約束メッセージだな」
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もへじはうれしそうな顔をして、モニタに向かってにやついていた。
「明日は、憧れのほおずきれいことデートかあ…」
「よし、了解のスターをポチっとな」
そして今日、もへじの金髪はいつもよりも心なしか明るく光り輝いていた。ほおずきれいこが指示した約束の待ち合わせ時間は午後の1時だというのに、朝の7時からいろいろとお洒落を決め込んでいる。
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「ふ、ふふ~ん」と鼻歌も出て、気分も高揚しているようだ。
PCを起動して再度ほおずきれいこのブログへ訪問する。
「おっ、小説も書いたのかあ」
もへじは記事内リンクでその小説も読みに飛んだ。
「お、『遺伝子検定』とな…」
「ふん、ふん、ふふんがふん」
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「そうか、遺伝子検定ねえ。遺伝子でイケメン度合いが分かる時代なのか。確かに整形すればイケメンなんて誰でもなれるけど、おいらなんか元から可愛いから整形する必要もない。しかしながら、さすがに、経年により遺伝子劣化で遺伝子のイケメン認定は貰えないだろうなあ」
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「なんたって高齢者からナンパされるほおずきれいこの、その高齢者ナンパ年齢の引き上げをしちゃうかもっておいらなんだから。って、すると、ほおずきれいこは爺好きなのかもな、うっしししっ♪」
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「イケメン認定の次の『セックス検定』ならこのおれ様にまかせておけってもんだからな、わっはっは。ちょいとそこにお布団敷いておくんなましってなもんだわいな」
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などと現実離れした妄想と錯綜の世界を彷徨い出すもへじであったが、そこは亀の甲より年の功でかろうじて現実世界に踏み留まり、やおら朝食の支度を始めた。
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今朝の朝食は、納豆全粒粉マフィンサンドイッチとホットミルクのようだ。なんだかここのところ二三日は朝食に納豆全粒粉マフィンサンドイッチを食べている。
よほど気に入っただけでなく、手軽に作れるのもいいのだろう。嫁に逃げられた男というのは、滑稽でもあり哀れでもある。
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もへじは納豆全粒粉マフィンサンドイッチをぺろりと食べても物足りなさそうにして、冷蔵庫からバナナを一本取りだして食べだした。
バナナを食べながら Hatena Blog で更新ブログを訪問しているようだ。
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「これだ!」もへじが叫んだ。
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「ほおずきれいこは手がきれいな人が好きな手フェチなんだ。この You Tube の動画をスマホで見せれば、いちころで改めておれに惚れ直すだろうぜ、へへへ」
「美しき繊細な手から繰り広げられる指先の軽快さ、心地よい音と振動とハンマーが弦を打つアクションの何とも言えぬタイミング刺激が猫にもたまらないんだから、手フェチのほおずきれいこならこの指先の動きを見れば一発で落ちるはずだ。そしてもへじさぁあぁあぁあぁあんってなるのだ」
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今日午後1時。
ドン・キホーテ前。
ひとりの男がドン・キホーテの入り口付近で、あっちへうろうろこっちへうろうろとしていた。
金髪眼鏡で小太り短足。いかにもの不審人物な感じだ。あれじゃそのうち通報されるのと違うかと思うほどだ。
その様子を道路向かいにある『情熱のすためしどんどん 八王子店』の通路側の席で、すた丼をきれいな手で支え掻っ込んで食べているアラフォーと思われる美しくもすきっと男っぽい雰囲気もある女が、鳶が獲物を狙うがごとき目でドン・キホーテの前でうろうろしている男を窺うように見ていた。
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ややあって、女はすた丼の飯粒を飛ばしながら「ちっ」と低く舌打ちした。
女はすた丼店を出ると、近くに停めてあった古びたチャイルド補助席の付いた電動ママチャリに乗って颯爽と漕ぎだした。
その姿を見ていた周りの高齢者共がわらわらと駆け寄り付きそうになるのを、さらさらと交わし去っていた。
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夕方5時。
一人の男がドン・キホーテの前にある石のモニュメントに腰を下ろしていた。うな垂れ肩をおとした疲れた感のある男の尻を石の冷たさが冷やす。
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そこに通りかかったアメリッシュ。
「あら、もへじさん、こんなところで何しているの、けつけつが冷えるわよ」
「うへ~ん、ほおずきれいこに呼び出されたのに、4時間以上待ったのに来ないんだよう」ともへじがすがるようにアメリッシュに答える。
「どういうことなの?」アメリッシュが聞く。
もへじはスマホを見せて「ああでこうだあだからこうなってこうしてこうなったんだ」ってアメリッシュに言う。
「ああだからこうしてこうなってこうしているわけね」とアメリッシュも呪文のように呟いて答える。
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お互いにこれで意味が通じているのか?
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「なるほどね、最初は白文字をマウスでドラッグしてみたらこんな風になっていたのね。わくわくしちゃうね。あたし絶対もへじさんの味方だから応援する」
今日は午後から仕事でした。
今日午後1時八王子ドン・キホーテの前で待つ。
テスト送信です。
「うへ~ん、ほおずきれいこが良いよう」
「ったく、バカ男!」
今日は午後から仕事でした。
白
テスト送信です。
「今は、その白地の文字列はどこにもないわね。修正したんだわ」
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「もへじさんかわいそうだけど、これ、もへじさんがどんな人か様子見で呼び出されたんだと思から…」
「じゃあ、なんでほおずきれいこは出てこないんだ?」
「ごめんねもへじさん。あたしがあやまることじゃないけど、もへじさんがほおずきれいこさんの眼鏡にかなわなかったってことで、出て行くまでもないってことだと思うわ」
「びえぇぇぇぇぇぇん (/ДT)」
「泣かないの、デカプリオでハリソンフォードで、あと…なんかなんでしょう、自称主人公が泣いちゃだめですわ。それじゃあアメリッシュが泣かせているみたいじゃないですか」
「ひっく、ひっく、わ、分かった」
「おりこうさんです。じゃ、そこのカレー屋さんシャンティで、もへじさんの好きなマトンカレーをおごってあげるから」
「は~い (´▽`)♪」
♥ ♥ ♥ ♥ ♥
追記:
お話はフィクションでございます。
くれぐれも創作と現実との混同なきようお願いします。バーチャルであってリアリティはゼロです。
IDコール召喚させました方様、お忙しいところ申し訳ありません。強制ご出演に感謝いたします。