脳ゴミ屋敷理論
2020年2月28日
年齢が上がると一つのことの行動に対して、そこにいくつかの要素が入り混じりやすくなります。
その結果はど忘れや物忘れと似た現象が発生しますが、この現象は単純なもの忘れやど忘れとは、たぶんちょっと違う現象によるものではないかと考えています。
永く生きるということは経験値も積み重なって行く
永く生きるって少なくとも経験値だけは積み重なっていきます。
例えば20歳の人と40歳の人では倍の年数を生きていますから、その分、脳内に色々なデーターが積み重なっています。
脳内のデーターというのは自分が意識するしないにかかわらず、一日の行動の中で起きたあらゆることを脳は多分記憶していると思うのです。
例えば一瞬すれ違った人でも、目が合ったか気になった程度ですぐに忘れたとしても、そのデーターを脳は記憶していると思うのです。
過ぎ去る人
過ぎ去る車
過ぎ去る風景
過ぎ去る日常
過ぎ去る行動
これらを脳は全て記憶していると思うのです。
どこに記憶しているかは、脳科学者の領域になると思いますから私などには分かりませんけど、脳のどこかにデーターとして記憶されていると思います。
コンピューターが0と1の二進法でデータを記憶しているのと同じか、あるいはもっと有機的な方法なのか分かりませんけど、脳は一生の出来事を丸ごと記憶してもまだあり余るキャパシティを持っていると考えます。
寝ている時に見る夢というもの
起きて見る夢は希望や叶えたい願望で、これは自分の欲望的現象です。
寝て見る夢はこれ迄の人生の中の総記憶の中からこぼれ出てくる記憶と記憶が絡み合った、記憶のコラボレーションだろうと思います。
だから見ず知らずの人が夢で出てくるなんて現象は、脳が蓄積した意識していないデーターが幾つかコラボして現れる現象だと捉えると、夢の不思議な想像もつかない出来事などの説明がつくと思います。
子供の頃の覚えてもいない怖かった現象と、どこかで生きずりであった人が夢の中でコラボし、どこかで読んだ物語と物語で更にコラボレーションしてしまうと、もはや分けわかめ状態の夢になると思います。
身内が知っている人が夢に出てくるなら分かるけど、夢で全く知らない人の顔が出てくるのことの意味が分からないなんてのは、脳の記憶の中から零れ落ちてくる記憶と記憶の組み合わせですから、身内が夢に出てくるよりすれ違っている人のほうが多いのが当たり前で、夢の中には知らない人が出てくる確率のほうが高くなろうってものなのです。
これは確率の問題です。
でも、夢を意図していないで脳が蓄積している記憶の断片のコラボレーションと考えたら、夢の不思議さの一端が分かる気がしませんか。
脳の経年劣化とど忘れもの忘れ
私は自分がトイレに行きたい時に、冷蔵庫を開けて何か食べ物を探していて、あれ自分は何しに冷蔵庫にきたのかなと考えることがしばしばあります。それはトイレに行く途中に冷蔵庫が目に入るような住環境だから、冷蔵庫に注意が惹かれそういう結果になるのです
または何かをしようと奥の部屋に入ったのに、数歩のうちになにをしようとしてこの部屋に来たのか分からなくなっていることがあります。
実はこれ歳を取ったから脳の働きが悪くなったんてこととは関係がないのです。
もちろん病気や脳梗塞などの直接的な影響で脳高次機能障害なんてのも無くはないですが、一般にはそんなことではありません。
それゆえこんな記事も書いてきました。
ど忘れもの忘れ
ど忘れや物忘れって若いときにはしてなかったかを考えてみると、先のブログカードの記事の通りに、若いときだってけっこうな頻度でど忘れや物忘れは頻発しているのです。
歳を取ったからど忘れもの忘れが酷くなったわけじゃないです。
ただそれでも歳を取ったからど忘れもの忘れが酷くなったように思わせる現象が発生します。それはどうしてでしょうか。
それは脳ゴミ屋敷理論でその現象の意味が分かります。
私は自分の頭の中を考えるときに自分の行動を見比べて考えることがあります。
なにかをしようとした時に見落とすことが多いのは、何かをしたいためにそちらに気が行ってしまっていて見落とすことのほうに気が全く回っていないのですから、見落とす以前の問題が発生していたのです。
なにかをしようとしてほかのほうへ気が行ってしまい、肝心の何かを忘れる。これがど忘れやもの忘れの原因に繋がります。
それではなぜそれが脳ゴミ屋敷理論に繋がるのでしょうか。
脳ゴミ屋敷理論とは
つまりは年を重ねて人生経験が豊富になった人は、脳内にはいろいろなデーターが詰まり過ぎていて、脳内がゴミ屋敷状態になっているのです。
ゴミ屋敷状態の汚部屋から何かをしようとしたら、何かをどかして何かをしなければ何もできません。脳の中もこのゴミ屋敷状態の汚部屋になっているのです。
だからトイレに行く間に冷蔵庫が目に飛び込んで来たら、冷蔵庫イコール食べ物で何か食べたいなんてデーターが転がり込んでしまい、最初のトイレに行くという行動を邪魔します。
なにかをするときに一つのことだけを考えて作業をすることが難しくなるのです。
と言って熱中してしまえば回りが見えなくなって、他の作業を忘れるようなアンバランスなことも起きます。それも汚部屋だから、汚部屋のゴミなどが気にならない状態が集中になります。
ところがいざ動こうとなると汚部屋のゴミが纏わりついて、動く行動の邪魔をするために、動こうとした動機を忘れてしまうなんてことが発生しやすくなります。
反対に若い人ではまだ脳内のデータ蓄積が少ないため、主だったデータの引き出しが早くど忘れは少ないです。
データ蓄積の多い年配者は、多くのデーターの中からど忘れしているものをサーチして探すのに時間がかかるからその結果がど忘れになります。
脳ゴミ屋敷理論はパソコンで例えれば、HDDの中でデーターが断片化するといいますが、これと同じことが起きていると考えると分かりやすいかなと思います。
つまり脳内の記憶が整理されていない例として、大根おろしをみても大根とおろし金というデータが断片化して容易に呼び出すことが出来ないために、「ほれ、あのその、大根の、ほらなんとかだよ」なんておろし金に直ぐに話が繋がっていない状態ではないかと思います。
つまり記憶データーが断片化して、汚部屋の中に散ってしまっているのです。
この状態だとパソコンでさえ情報処理速度がかなり落ちてしまいますので、そこでデーターのデフラグが必要になるのですが、脳のデフラグを一体どのようにしたらいいのかまでは私には分かりません。
おわりに
脳の記憶データがゴミ屋敷状態となったままなのが普通の年配者だろうと思います。
中にはそうでない方もいらっしゃるのではと思います。
例えば学者の方たちはため込んであるデーターを上手に引き出して、それぞれの得意な分野で業績を上げたりすることが出来ているのだろうと思います。
そういった学者の方が、脳のデフラグに関しての論文的なことを研究してくださっている方がいるのかどうか分かりませんけど、実際には年配者には脳のデフラグも呆けないためには必要なことだと言えるかもしれません。
年配者の脳はそれこそゴミ屋敷のようにデーターがいっぱい詰まっていてデフラグ(データの並べ替えと整理)が出来ていない状態なんだということを、もし年配者の方と接するお仕事などをなさっている方がいらしたら、あるいは家族にそのような年配者の方がいらっしゃれば、年配者の方の反応が遅いのは脳内ゴミ屋敷状態だからと考えてあげると良いかなと思います。
脳内ゴミ屋敷は単なる比喩であって、脳内の記憶データーはゴミじゃありません。ゴミ屋敷化する人が、人の目にはゴミに見えるけど自分には大事なものだというのと同じなのです。
ただし本当のゴミ屋敷の住人は何らかの心因性原因により、ゴミをゴミと思わないで大事なものと思ってしまう心の病気である場合が多いのです。
脳ゴミ屋敷理論と、そのゴミ屋敷のゴミとと一緒にしないでね。
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